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投稿文・エッセイ

 

セカンドオピニオン外来設立の経緯とその内容。

三四会新聞(慶應大学)

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帝京大学医学部外科・助教授、新見正則

 

慶應義塾大学病院と較べて、帝京大学付属病院に足りないものは、なんと言ってもブランドです。病院としてのブランドが十分でない環境で患者さんを集めるには、自分自身と自分の率いるグループのブランドイメージを上げる必要があります。5年の英国留学を終え、帝京大学で血管外科の患者さんを集めるために、ホームページ(新見正則による下肢静脈瘤の話し:www.mniimi.com)を立ち上げ、また講談社より単行本(下肢静脈瘤を防ぐ・治す)を出版しました。一方で、腹部大動脈瘤の破裂や急性動脈閉塞は24時間、365日いつでも入院・手術が行える環境を整えました。その甲斐あって、血管外科の患者数はこの5年間で、十倍以上になりました。そこで、更なる患者集客作戦のために必要なことは、帝京大学病院全体のブランドイメージの上昇しかないと考え、以前より計画していたセカンドオピニオン外来を全国の大学病院としては最初に立ち上げました。対象はすべての診療科で、診察日は木曜日・土曜日の午前中です。一人あたり1時間の外来で、問診以外は行いません。あらかじめインターネットや友人・同僚を通じて最新の治療を勉強しておきます。保険診療ですので、患者さんのお支払いは初診料を含めて1200円です。この外来で重視していることは傾聴です。まず、最初の20分はひたすらお話を受け止め、患者・医師関係を築きます。その後、患者さんが疑問に思っていることに対して、質問や回答をしていきます。全体の5割の患者さんは、正しい医療をされていながら医師の説明が十分ではなく、腑に落ちていない患者さんです。彼らには現在施されている医療の正しさを説明し、医師とのよりよい関係を築くように勧めます。別の4割の患者さんは、本当の意味でのセカンドオピニオンで、現在の治療を正しく受け止め、他の選択肢、他の意見を探している患者さんです。残りの1割は不定愁訴と思われる内容で医師を転々としている人です。かれらには治らない旨の引導を渡します。十分に話しを聴いてさしあげることで、全体の9割の患者さんは満足して帰ります。ブランドイメージ戦略のためにはじめたセカンドオピニオン外来ですが、最近は患者さんと1時間真剣に接する環境に充実感を感じています。セカンドオピニオン外来は病院としての収益は期待出来ませんが、多くの病院が行うことにより、日本全国の医療レベルの向上と、勉強不足の施設の淘汰につながると考える今日この頃です。

 

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